前回の続き……。
レコードを買って家に着いた。レコードの封を開けると中には歌詞カードが入っていた。初めての英語の歌詞で、外国の空気に触れた気がした。
レコードに針を下ろす時は緊張した。貴重なレコードを傷つけてはいけないし、レコードはグルグル回っている。針を持つ手は震えるし、レコードの回転は子供にはちょっと速過ぎる。なんとか不器用ながらも針を下ろすと、レコード特有のノイズの音が聞こえ、少したって曲が始まった --- When I was young, I'd listen to the radio waitin' for my favorite songs...
そう、今になって思う。この歌詞は私の生活そのものを表していた。その頃は私と同じようにラジオでこの曲を楽しみにしていた人が多かったに違いない。その中で何人がこの歌詞の意味に気づいているだろうか。
当時はローマ字は知っていたが英語は知らなかった。曲に合わせてローマ字の知識で歌詞を読もうとしても、レコードの発音はローマ字のそれとは違っていた。歌を聴きながら歌詞を追いかけるのは大変だった。でも、何度も何度も歌詞カードを見ながら曲を聴いているうちに、少しずつ発音と歌詞の対応が取れてきた。これが英語との初めての出会いだったと思う。
この経験を通じ、レコードにすごく興味を持つようになった。次は何のレコードを買おうか、ラジオを聴きながらあれこれ考えた。英語やアメリカの文化に興味を持ち始めたのもこれがきっかけだったように思う。
今の子供たちは小遣いをたくさんもらっているのだろうか。私が小さい頃はそれほど多くもらっている人はあまりいなかったように思う。レコードを買いたくても、小遣いを貯めないと買えなかった。だからこそ、レコードは貴重で、買う時に思い入れが深く入り、より一層レコード、そして曲を大切にしたのだと思う。
昔と比べると、確かに最近は簡単になんでも手に入るようになった。何もかも便利になった。ただ、それによって失っている物もあるかもしれない……。
コメント (2)
私は昔買った、自分では名盤と思っているレコードをCDで揃えようとしているのですが、なかなかマニアックな好みのためか簡単にはいかない事が多いです。気づいたときには既に復刻版CDが絶版になっていてYahoo!オークション等で法外な値段がついていたり……。
絶版になったCDは有料でもいいのでネット配信するとか、そういう配慮があると嬉しいです。近いうちにそういう世の中になっているのではと、少なからず期待してますけど。
投稿者: tmine@ElectriX | 2006年12月23日 23:33
歳がばれちゃいますが、私が高校生の時にカレンが亡くなったと聞いてショックでしたね。その当時の私は名前を言われてすぐに声が浮かんでくる人は少なく、そのうちの一人でした。
ちなみに初めて手に入れたレコードではありませんが、私が買うと決めてから入手までにもっとも時間がかかったのはこれです。
'84年に友人に聞かされて買おうと思ったまではよかったのですが、社会人になって探した時には絶版でした。復刻されたのに気づいて今年入手しましたから実に22年かかってます。
あ、カーペンターズとはジャンルが異なります。
投稿者: 匿名 | 2006年12月23日 12:12